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2005.10.25

第31回 採用篇10 能力より価値観重視の採用を~その2

その結果、従業員が思い通りに働いてくれない、能力が要求する基準に達しない、会社に不満ばかり言う、離職率が高い----などの問題が起こっているケースが少なくない。こうしたことが起こる背景には、労働力の需給関係が数の上では企業側の買い手市場にあることが影響している。

合弁企業であればパートナーの大半は国有企業で、多くは人手が余っているから外部の人材よりは内部の人員を使ってほしい。また日系企業ならほとんどの場合、たいした募集努力もなしに必要数に数倍する応募者が集まってくる。

いざ海外進出という場面では、時間や予算面の制約、情報不足、担当者の力量の問題などによって最初から充分な人材の選別ができず、手近な手段での人集めに走ってしまうケースが多い事情は理解できる。しかしこれから新しい会社を運営していく日本人派遣者が思い通りの経営をできるかどうか、それはどんな人材を集められるかで決まってしまう。

改めて言うまでもないが、技術は訓練次第で伸ばすことは可能だ。しかし生まれながらのポテンシャル(器の大きさ)は変えようがない。また一定年齢まで育つ間に身についてしまった習慣や価値観、道徳観念といったものを変えるのは難しい。変えようとすれば膨大な時間と労力がいる。

この「後天的なもの」の個人差が日本社会より大きい以上、やはり能力より価値観を重視した採用がカギになってくる。上司が見ていないとすぐさぼる、工場内にゴミを捨てる、ケンカをする、会社のものを盗む、レジのカネをごまかす----といった話をよく聞くが、それを防ぐ最も効率的な道は、そういうことをしない「価値観」を持つ人を採用することにある。

「それができれば苦労はない」と言われそうだが、人材採用の持つ死活的重要性に比べて、現在の多くの日系企業の努力や工夫はまだまだ足りないと言わざるを得ない。

確かに膨大な人の海から逸材を探し出すには相当の努力がいる。100%思い通りの人を確保することは無理かもしれない。しかし各種の筆記試験や適性検査などの有効性は中国でも実証されているし、総経理クラスの人物が本気で面接すれば、人柄はかなりの程度までわかるはずだ。

中国での人材の「買い手市場」はそれらの手段と努力によって優れた人材を選抜するために利用すべきであって、経営者の仕事がラクになるだけであれば何の意味もない。

「立ち上げ時にもっと緻密な採用をしておけば、こんなに苦労しないで済んだのに」と悔やんでいる日系企業の経営者は少なくないことを、これから進出する人間はよく知っておいたほうがいいだろう。

※文中のデータや法律などは執筆時点のものです。中国の動きは速く、現在とは状況が変わっている部分があると思われます。その点はご留意のうえ、ご参考にしていただけますよう願いします。

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コメント

hi, from another article provided the link of your articles, so I am here.

However, it's pity I cannot read Japanese. Hence, Do you have some articles in Chinese version. If you have, could you give me the links? Thanks.

投稿: ninja ftw | 2007.05.11 03:44

Hey,
I almost read every article about china writen by you. maybe i dont agree with some detail in articles with you, but you really do good job to give a in-depth review on china to both japanese and chinese.
Gan Bei Dei(Jia You in Chinese)! Prolbem between Sino-Japan need know each other better, and you can be the one to be helpful.

投稿: James Yan | 2006.08.24 11:45

Recently i read an article written by you about Fillipino maid in china. It surprised me quite a lot becasue it is so hard for a foreinger like you to understand china so well. Anyway I am currently providing Fillipino maid services in shanghai. If there is any requests of Fillipino Maid from your friends I can do the help.

投稿: jeffrey | 2006.08.16 15:27

经常会看一些外国人在中国的感受的文章,以此来发现自身的不足。不过,您是我看到的第一个能够如此客观地分析中国现状和理解中国现状的外国人。谢谢!

投稿: Youkeihou | 2006.08.07 09:47

I like your articles very much. A Chinese Edition will be strongly welcomed and will do much to make a bridge of friendship between China and Japan.

投稿: Yu | 2006.07.27 09:37

Mr.Kata knew China quiet well. And yes, you gave some realy good advise for the Janpan enterprise in China. After reading your blog, I knew I find a good way to learn Chinese.

You have the special view about thinking of China development.

投稿: susan | 2006.06.20 16:03


Personally, I work for a Japanese company.
I think there are some problems in human resources management.
This year, there are almost 20 person abdicated.
And I really want to discuss the matter with you,
1. middle-level managers are some Chinese, almost every Division has one or two Chinese manager, they always treat bad to their underling, if there are some underlings who are in good performance, they make their effort to block them, at last the staff can't bear this and leave the company. this phenomena is because of the some manager's selfish which is very negative for the company's development, the middle-level managers may tell you the wrong information,
which may lead to wrong dicision.

2. So there is a faultage appeared between common staff and top managers, and top managers always believe the middle-level managers. They don't know the fact.

3.the company who treat their staff well can success in china, the Japanese company should manage the company base on the factual Chinese situation,
then you can success in china.

4.Treat the staff in justice, take care of their thought.

5. Employ the person who are virtuous, but not a person who is only for their own, a company's success don't depend on one person. It depends on corporate effort.

Communicate with your staff, listen to their voice

投稿: someone | 2006.03.31 14:36

はじめまして、日本語専攻の者で、今北京で働いております。
田中さんには、少しだけのアドバイスを申し上げたいんですけど、
田中さんは長い間上海にいられたんですね、中国の事情にすごく詳しくて感心しております。ただですね、中国は日本と一つ大きな違いがあるということは気づいていらっしゃるんでしょうか。それが、中国の各都市・省間の経済・文化などの分野での格差は日本よりずいぶん大きいということです。したがって、「上海」はイコール「中国」という出発点は間違いだと思います(失礼します)。僕個人的の考え方ですが、もし田中さんはこらから中国の情報をもっと深く知りたいなぁと思いましたら、中国の各地方にも行ったり来たりして、上海だけじゃなく、他の省・市とかの様子もみて、日本人の人々にもっと広い情報をお伝えいただいたらどうですか?

投稿: マツ | 2006.03.31 09:04

您好,我很喜欢您的文章
不过我的日语不是很好,
您是否有中文版的BLOG,
如果有的话,您能否把地址发到我的邮箱
我的邮箱地址是:tsenggl@yahoo.com.cn
非常感谢!

投稿: alan | 2006.03.30 17:37

I'm in Shanghai, just read your reports on nikkeibp about China. Thank you for your in-depth review.

投稿: Daniel Wu | 2006.02.22 14:35

中国に対して、よくご存知ですね、中国に長くいられたでしょう。

投稿: syuu | 2006.02.07 14:59

こんばんわ
中国のBBSから来ました。
http://club.cat898.com/newbbs/list.asp?boardid=1
2ページ目の第22楼に田中さんの「【中国点滴】终于向陌生人说出“你好!”的中国人」が転載されていまいした。

投稿: ぽぽよ | 2005.11.20 20:33

いつも楽しく拝見させていただいております。
まことに勝手ながら拙ブログとリンクさせていただきました。お暇なときにご訪問していただけますと幸甚であります。

投稿: Ramla | 2005.10.26 19:36

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