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2004.07.25

第15回 本当に中国しかないのか?

当たり前のことだが、中国進出は企業にとって数ある選択肢のひとつでしかない。本当に中国に進出するのがいいのか、改めてよく考えてみる必要がある。

いったい自社が中国に進出する目的は何なのか。コストダウンできる生産基地が必要なのか。新しい市場を目指しているのか。経営者として海外展開の夢を追うのか。日本国内に残る道はないのか。

海外に出るとして、本当に中国がいいのか。ベトナムやフィリピン、インドネシア、ミャンマーは検討する余地はないのか。

企業ごとの事業目的や経営資源、市場環境などによって進出先の選定は大きく影響される問題であり、このコラムは人に関する問題にテーマを絞りたいので、深くは触れない。しかし「いったい中国に何を目的に進出するのか」は明確にしておかねばならない。

それによって「会社の決意」が定まってくるからだ。

中国という国は確かに膨大な潜在力を持っているし、労働力は豊富で、市場としての魅力もふんだんにあることは事実だ。しかしなんといっても社会主義計画経済から資本主義市場経済への過渡的な混乱期にある社会である。世界でも有数の豊かさと安定度を持つ成熟社会の日本との差は極めて大きい。赴任する人の負担は非常に大きいというべきである。

そうした環境下で、外国人をマネジメントしながら事業を遂行し、利益を上げていく日本人経営者、管理者には相当なモラルの高さが要求される。そのモラルは
「我が社は中国で何をしようとしているのか」
「中国事業が我が社にとって、どのような位置付けにあるのか」
「自分は何を期待され、何を達成しに中国に来たのか」
という明確な目的意識と決意なしに持続することは不可能である。

会社は「同業者がみな行くから」「親会社が行ったから」と中国進出を決め、派遣される現法管理者(駐在員)は「会社の命令だから」行くというのでは、混乱期の「何でもあり。強いもの勝ち」の中国社会で、次々と押し寄せる難題と闘いつつ利益を上げていくのは到底無理と言わねばならない。

企業が海外に進出する目的はつまるところお金儲けにある。そのために自分の意思で中国に行くのだということを忘れてはいけない。

しかしながら現実には、まるで徴兵されたか、懲役にでも行かされたような「被害者意識」を持って中国に来ている日本人も決して少なくない。行きたくもない中国にやられて、日本料理屋で中国社会と中国人の悪口を言いつつ、帰国の日を心待ちにしている日本人のなんと多いことか。

そんな人が経営している会社で働きたい優秀な中国人などいるはずもないし、そんな人が経営する会社が成功したら、それこそ奇跡というべきだろう。

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