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2004.07.22

第14回 「失敗した人ほど声が大きい」という原則

「日本企業の中国進出は失敗ばかり」という印象が強くなるもうひとつの大きな原因は、「失敗した人ほど声が大きい」という大原則にある。中国でうまくいかなかった人ほど、その失敗を自分のせいにしたくないから、中国の人や制度の悪口を言うものだからだ。

海外で順調に事業が進んでいる人は、すべからく謙虚であって、「オレはこんなに成功したぞ」などと声高に叫ぶ人は少ない。

ところが失敗した人、うまくいっていない人に限って、失敗の原因が自分の経営のまずさにあると思われたくない(もしくは自分が無能だから失敗したのだという事実に気がつかない)から、現地の従業員やパートナー、法制度、政府の政策などの問題点を強調する。

それを聞いた日本国内の会社の上司や同僚、マスコミの人々などは、中国の現状をよく知らないし、外国人の悪口というのは面白いから、それを鵜呑みにして
「そうか、中国というのはそんなにひどい所か。それじゃあ失敗するのも無理はない」
と、すべてが中国もしくは中国人のせいになって、すべてが丸くおさまるのである。

その「働かない」従業員を採用したのは誰なのか。そんなにひどい法制度の所に進出を決めたのは誰なのか。不誠実なパートナーを選んだのは誰なのか。だいたい何のためにそんな「ひどい所」に進出したのか。

実はそれらすべてのことを決めたのは、その人自身か、会社の先輩か、同僚であるはずなのだが、そのことはすっかり忘れられている。

仮に日本国内で新規事業がうまくいかない時、その責任は経営者が問われるのが普通である。失敗の理由を従業員や法律のせいにする経営者がいたら失笑を買うだけであろう。なのになぜ中国だと地元の政府や地元で採用した従業員が悪いことになり、周囲もそれで納得するのか。冷静に考えればすぐにわかることである。

失敗の原因を客観的に分析して、その教訓に学ぶのなら意味はあるが、謙虚さを欠いた失敗の強調は、これから一緒にビジネスをしていこうという国やそこに住む人々に誤った先入観を与えるという点で有害でしかない。

私は中国の法律や制度、従業員を悪くいう日本人駐在員経験者の話は警戒して聞くことにしている。もちろん中国に問題点はたくさんあるが、経営上の課題を克服する方法を考えて、なんとか収益を上げるのが経営者の仕事だろう。

そのために自分はどう努力や工夫したのかという話を抜きに、やたらと「中国のせい」にする現法幹部経験者の話は、にわかに信用できないと思うのである。


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