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2004.07.17

第12回 「日系企業の中国進出は失敗だらけ」は本当か?

日本で中国ビジネスに関心を持っている人と話していると、少なからぬ人が「中国ビジネスって大変そうですね。日系企業も失敗しているところが多いんでしょう?」という反応を示す。

本当にそうなのだろうか?

当然のことながら、企業によって中国進出の目的は違う。何をもって成功、失敗というのか、その基準は異なるから、現実的には厳密な議論は難しい。しかし日系企業の大半を占める製造業であるならば、とりあえず「進出後、おおむね計画通りに立ち上がって生産が始まり、数年のうちに単年度黒字が出る」というあたりを一応現段階の「成功」と考えるとするならば、それを達成している企業は決して少なくない。

ある日系メーカーの日本人総経理は「中国に来る前、中国ビジネスの本をたくさん読んできたが、中国はひどいという話ばかりで、とんでもない所だろうと覚悟してきたら、全然なんてことはなかった。経営の要点は基本的に日本と変わらない。周囲の日系企業と頻繁に情報交換して、内情までよく知っているが、ほとんどはうまくいっている」と話す。

中国に進出する企業は数えきれないほどあるが、考えてみればどこの企業も漫然と中国に進出するわけではない。情報が大量に流れている今日、多くの企業は公的機関や銀行、業界内の企業などに経験を聞き、慎重に検討した上で決断している。これだけ多くの企業が進出したのに、仮に大半が失敗しているような状況であれば、中国に行く企業などあっと言う間になくなってしまうに違いない。

ただ誤解しないでほしいのだが、私は「日系企業の中国進出で問題が起きていない」と言っているのではない。海外で新しい事業を立ち上げるのであるから、必ず問題は発生する。現場の感覚では「発生」というより、「噴出」といったほうがいいくらいだ。

しかし日々の仕事で「問題が噴出」することと、中国への「進出が失敗」することは全く別のことである。

マスメディアはこの両者を意図的に混同して書くから、読者はどうしても日系企業は「進出が失敗」しているかのような印象を持ってしまいがちだ。相手はプロだから、ある程度仕方がないのかもしれない。

しかし(当たり前のことだが)、仮に野球に例えると、3回表の時点で敵にリードを許していても、試合終了の段階で敵の点数を上回れば試合は勝ちである。ましてビジネスには「何回まで」という制約があるわけではない。それを3回表の時点での状況を見て「この試合は負けだ」と言っても意味がない。どの時点で見て「成功」「失敗」を判断するのか。そこを明確にしておかなければ客観的な判断とは言えないのである。

「成功だ」「失敗だ」という議論をする前に、進出の目的は何なのか、判断の時間軸をどうするのかなど、成功や失敗の定義をハッキリさせる必要がある。漠然とした印象やで先入観を持つのは避けなければならない。


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